2011年3月5日土曜日

ヤマーがAAA社のサイロを叩き壊す

 以下、gigaom.comより翻訳して掲載します。(原文

 最近私は、新しいエンタープライズ向けソーシャルツールの利用の高まりは、組織のストラクチャーを変えるという意味においてどのようなポテンシャルを持つのだろうかと考え続けている。理論的には、ヤマーやtibbrやpresent.lyのようなツールは、組織をフラット化してヒエラルキーを縮小するポテンシャルを持つとされている。この話が本当かどうかを明らかにするために私は、ソーシャルツールを実際に導入している企業に話を聞き、そのツールがどのような効果を組織内で発揮しているのかを(もちろん効果があるとすればだが)確かめようと決めた。

 私が話を聞いた最初の人物はAmerican Automobile Association社でソーシャルメディア戦略担当を務めるJaimee Clements氏だ。私はAAA社に話を聞きたかったのは、その会社が良いケーススタディとなると考えたからだ。この会社は、企業の年齢という意味でも古く(100年以上続く組織である)、様々な会員組織から成り立つ連合体であるように極めて伝統的な組織構造の組織であるという事実からも古く、典型的な「古い」組織なのだ。

 採用

 AAA社がヤマーを採用した話は興味深い。伝統的組織ならばよくあるようなトップダウン型のソフトウェア導入というよりも、ヤマーは「在宅勤務デー」において技術に詳しいユーザによる小さなグループでの利用として始まり、コミュニケーションや組織内の出来事を全員がキャッチアップするための手段に使われた。その利用は一年間ほどは小規模な利用範囲のままだったが、AAA社のCOOがタウンホールでのミーティングで自社の製品とその製品の有用性について触れた際に、その利用が爆発的に増加した。小さなグループでの最初の利用開始から2年がたち、今では組織内に3,700人の利用者を抱えている。

 効果

 AAA社内でヤマーがクチコミで広がってきたことよりも面白いのは、組織そのものの構造と組織の意思決定プロセスにおけるその効果だ。Clements氏はAAA社の組織は非常に古く伝統的であることに触れた。AAA社の組織のスピード感は概して非常にゆっくりとしており、3つの州にオフィスを構えていることによる情報のサイロ(連動せず孤立して蓄積された情報というニュアンス)に頭を抱えていた。しかし、ヤマーを導入してからは、これらのサイロは壊され、より時間を消費していた委員会はヤマーを選び取ることで終わりを告げた。こうしていくつかの地域での意思決定プロセスは大きくスピードアップした。さらに、組織は今まで見過ごされていた豊かなアイデアの数々を見つけ出している。

 私が発見した非常に驚いたことは、このような伝統的組織における変化のスピードだ。これら全ての変化は、ヤマーの採用からたった一年で広がったような、極めて短い時間の中で起きたものなのだ。

 ベスト・プラクティス

 私はClements氏にベストプラクティスやヤマーのようなソーシャルツールを採用しようと考えている他の組織に何かアドバイスはないかと尋ねた。彼女によると、重要なのは、ビジネスにおける価値やユーザの興味をメンテナンスするために、S/N比を高く保つことだということだ。そうでなければ、やりとりは仕事と関係のない事柄に関するおしゃべり場所に成り下がりか、面白いコンテンツのないゴーストタウンと化すのだ。S/N比を高く保つために、Clements氏はヘビーユーザを特定して彼らを管理者にすることで「アクティブ・キュレーター」グループを作ることを推奨している。彼らはツールの利用のガイドすることを支援でき、より有用な領域や示唆に富むトピックへとやりとりを操縦することができる。Clements氏によると、やりとりを運営する重要な方法は、事態が始まったら事態を落ち着けるために物議をかもすような質問を慎重に出すキュレーターを得ることだ。(原文:Clements mentioned that a great way to drive conversations if things do start to get quiet is to get the curators to ask deliberately provocative questions.)彼らは人々が参加するように促し、特定のトピックについてチームがどう感じるのかに関するアイデアを得る方法として使うことさえできる。

 さらにClements氏が指摘するには、ソーシャルツールを導入するときは人事部、情報システム部、法務部が関与しようとするため、彼らを前もって巻き込んでおくことも重要だとのことだ。特に情報システム部は、ユーザが決められたIT利用のプロセスで使えるのかどうかを気にするだろう。事態が悪化するときに備えて計画を用意しておくことも重要だ。

 ソーシャルツールを使用するときは、ナレッジの獲得が問題となる可能性がある。このアプリケーションには大量のナレッジが貯蔵されるかもしれないが、ユーザが簡単に見つけ出すことができるように貯蔵・組織化されているにも関わらず、役に立たない。Clements氏によると、AAA社は月次総括、ニュースレターでの振り返り、最も興味深かったり有用なやりとりなどの組み合わせを利用しているとのことだ。積極的なキュレーターは重要なやりとりを特定することを手助けしてくれる。理想的な状態を考えると労働集約的なやり方かもしれないが、AAA社では機能しているようだ。

 振り返って、いかに速くヤマーがAAA社内で広がったかと、その利用によって組織の動きに抜本的な変化をもたらしたときのスピードが非常に印象に残っている。サイロをたたき壊し、意思決定を合理化したのだ。

[翻訳:@taniyang]